序章

2014年05月02日 19:09

同い年の子供を騙すのは簡単だ。

安い優越感に浸る大人を騙すのはもっと簡単だ。

先生も、親だって、なんて騙されやすい動物なのだろう。

 

自分を偽っている訳ではない。

これが人に見せている私というだけであって、私であることに変わりはない。

 

口角を上げ、目を細め、ハリのある大きな声で「おはようございます」

と言う。 ただ、それだけ。

 

人の顔を伺い、「そうなの?すごいね!」

とくり返し唱え

自分が一番だと思い込んでいる形ばかりの大人の命令に「はい。」

と答える。

ただ、それだけで、これまた形ばかりの紙切れに二重丸が並ぶ。

 

なんて単純なんだ。

 

こみ上げる笑いを喉でぐっとこらえ、ただただやかましい教室へと足を踏み入れる。